IPA新スタイル解説:NEIPA / ヘイジーIPA、シングルホップIPA、SMaSH IPA


IPA新スタイル解説:NEIPA / ヘイジーIPA、シングルホップIPA、SMaSH IPA

IPA入門の投稿を書いたあと、いくつかの新しいIPAスタイルが誕生・普及したので、こちらで紹介します!

まず、IPAとは?v1.0まだ読んでない方はそちらからスタートしてください。こちらをクリックするとv1.0の投稿へ飛びます。

 

さて、新しいスタイルを見てみよう!

まず、すごく話題になっている極濁りIPA:

ニューイングランドIPA(ヘイジーIPA、New England IPA, Hazy IPA)

アメリカのニューイングランド地方(北東部のメイン州、バーモント州、ニューハンプシャー州、マサチューセッツ州、ロードアイランド州、コネチカット州)から来たIPAスタイル。特徴がまず見た目。ウェストコーストIPAと違って、オレンジジュースに近い、激しい濁りとゴールド・オレンジの色。香りも新鮮でフルーティ、オレンジ、マンゴ、パイン、トロピカルフルーツのホップ。味もフルーティ、見た目とちょっと違ってしつこくない、ちょっと甘味があり、苦味が控えめ。

ヘッディートッパー、ツリーハウスジュリアス、ノースアイランドIP

ウェストコーストIPAが昔から、美しい透明感と強い苦味で大人気だけど、ビアマニアックが一味違うIPAを求め始めたら、ニューイングランドIPAが爆発的に人気になりました。ニューイングランドのブルワリーが割と小さくて、流通範囲が極めて狭くて、アメリカでもなかなか手に入れにくい。一番有名なところはバーモント州のThe Alchemist(アルケミスト)とHill Farmstead(ヒル・ファームステッド)、マサチューセッツ州のTrillium(トリリウム)とTree House(ツリーハウス)と、メイン州のMaine Beer (メイン・ビア)ですが、あまりにも人気でほとんどのビア販売が予約制か行列で待たないといけない状態です。需要に追いつかないのでブルワリーでしか買えないとこが多いです。The AlchemistのHeady Topperがこのスタイルの始まりと言われていて(Farm Hillsteadからスタートしたという説もある)、数年前から大人気でした。そこから近くのブルワリーに普及してきました。2016年の夏ぐらいからスタイルとして話題になり始めて、2017年の始まりにやっと大きめのところ(CoronadoとかModern Timesとか)が作り始めて、日本で飲めるようになりました。本物のNEIPAは日本で見つけるのは無理ではないけど、現在は仲がいい友達がいないとなかなか手に入りません。

どうやってこんなに濁ってるビール作るかみんな知りたいですけど、実は色々な方法があるらしい。一番多そうな方法は、イースト。今までのIPAは透明感やキレ重視だったけど、NEIPAはイギリスのイーストを使うことで、味わいがよりジューシーでまろやかでタンパク質が液体中にたくさん残ります。原料となる穀物は大麦だけでなく、小麦やオーツを入れると、味わいや舌触りがよりスムーズで濁りがさらに増える。穀物のフレークも入れると、さらにクリーミーでクラウディーになります。フレークオーツとかは前はスタウトやポーターのみに使用されていたけど、意外とIPAとの相性がいいです。あるところも小麦粉を入れているらしくて、ビールがさらに濁って、舌触りがミルクセーキになります。まさに果肉入りのオレンジジュース。

もう一つの理由はホップ。普通のホップの使い方は、沸騰している麦汁に入れます。これで、ホップにある成分が一部苦味成分に変換されて、ビールが苦くなります。NEIPAはホップの苦味よりアロマが欲しいので、ドライホッピングというホップ投入方法を使います。ドライホッピングというのは、発酵中か発酵後にホップを入れて、10日間ぐらいかけて香りづけします。これで、ホップの苦味が全然でなくて、新鮮なアロマと味だけが残ります。NEIPAはドライホッピングにバカほど多くのホップを使い、このホップの成分もビールの濁りになります。ドライホッピングから出てくるポリフェノールがビールにあるたんぱく質と合体して、沈殿しにくい物質になり、ビールが濁ります。NEIPAの前は、透明なビールが望ましかったので、ろ過していましたが、ろ過するといろんな味やアロマ成分を失うので、あえてろ過していなく、濁りが残ります。

voyagerのオンラインショップでヘイジーIPAをたくさん出していますので是非ご覧ください!

 

 

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シングルホップIPAは結構昔からあったマイナーなビールスタイルです。名前通り、ホップは1種類しか使わないビールタイプです。普通のビールはホップをブレンドすることで、味・香り・苦味にバランスを取れたビールになるけど、各ホップの味はわかりにくい。シングルホップビールを飲むことで、「あー、このホップはこういう味なんだ」でいい勉強になります。マイナーなスタイルなので定番のものがあまりなくて、限定シリーズで出すところが多い。上の3種類は日本で購入可能。

このスタイルがシングルホップのさらに範囲を小さくしたビール:Single MAlt Single Hop IPAになるので、SMaSHという名前になっています。こういうビールがさらに珍しくて、日本ではまだ見たことないです。ローカルな材料をメインにしているブルワリーが、ワインのテロワールと同じよう、ローカルで育てた大麦とローカルで育てたホップを簡単に合わせることで、地域の味をビールで表現します。アメリカから日本までこういうビールを送る可能性が低いと思うので、日本のブルワリーが作ってくれるまで待った方がいいと思います。

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